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通過儀礼とは?日本や世界の通過儀礼をご紹介
通過儀礼とは人が一生のうちに経験する節目
通過儀礼とは、一生の間に通過する儀礼や儀式のことです。
この記事では、日本の通貨儀礼や世界の通過儀礼についてご紹介します。
一人の人間が生まれてから亡くなるまで
一人の人が生まれてから亡くなるまで、あらゆる儀式があるものです。それを通過儀礼と呼びます。
お腹にいるときから始まり、亡くなった後の法要までです。
国によっても異なる
通過儀礼は、日本のみでなく世界で行われるものです。国によっても、行われる行事や儀礼も異なります。
宗教などの考え方による相違、民族としての考え方の相違などがあると思われます。
日本の通過儀礼の一覧
ここからは、日本の通過儀礼の一覧を見てみます。妊娠中の帯祝いに始まり、お宮参り、七五三など、子供に関するものだけでもかなりの行事があるものです。
そして、大人になってからも、成人式に始まり、結婚式や年齢に関係する儀礼などがあります。
亡くなってからも、お通夜や葬儀の後に法要が営まれます。
子供の通過儀礼
子供に関する通過儀礼を挙げてみました。それぞれの要点をご紹介します。
- 帯祝い
- お七夜
- お宮参り
- お食い初め
- 初節句
- 初誕生
- 七五三
- 十三参り
帯祝い | 妊娠5ヶ月の戌の日に岩田帯といわれる腹帯を巻き、安産を願います。 |
お七夜 | 赤ちゃんが生まれて7日目のお祝い。生まれて7日たったことに感謝し、健やかな成長を願います。 |
お宮参り | 生後1ヶ月の赤ちゃんの健やかな成長を、生まれた土地の神社で願います。 |
お食い初め(おくいぞめ) | 生後百日のお祝い。一生食べ物に困らないことを願います。赤ちゃんに食べ物を食べさせる真似をします。 |
初節句 | 赤ちゃんが1際までに迎える初めての節句。男の子は5月の端午の節句、女の子は3月の桃の節句です。 |
七五三 | 7歳、5歳、3歳の子供の健やかな成長を祝う行事です。女の子は3歳と7歳、男の子は5歳の時にお祝いします。 |
十三参り | 数え年齢で13歳(満12歳)の男女の成長を祝う行事です。京都を中心に行われていましたが、ここ最近は日本全国で行われています。 |
大人になるお祝いとしての通過儀礼
大人になるお祝いとしての通過儀礼は成人式です。日本各地で成人式の行事が行われています。
- 成人式
2021年までは、20歳が成人とされていましたので、20歳を祝う成人式の祝典が、毎年「成人の日」にあたる1月の第2月曜日に各地方で催されました。
しかし、2022年より18歳が成人となりました。
2023年の成人式がどうなるのか懸念されますが、従来通りに20歳で成人式を行うという地方自治体が多いようです。
結婚に関する通過儀礼
結婚関係の主な通貨儀礼は以下です。ただし、宗教によって異なる面があります。
- 結納
- 祝言
- お披露目
- 結婚記念日
結納 | 結婚によって結ばれる男女の家同士がお祝いの品を交換します。結婚は家同士の結びつきという考え方による行事です。 |
祝言 | 祝言(しゅうげん)は結婚式を意味します。神前式、仏前式の他キリスト教式などがあります。 |
お披露目 | 結婚式後の披露宴のことです。親戚や友人知人が集まり、二人の結婚を祝福します。 |
結婚記念日 | 欧米から伝わった風習です。結婚した日のことで、何年目になるかによって呼び名があります。(1~75年目まで) |
年齢に関する通過儀礼
年齢に関係する通過儀礼は、厄落としや長寿のお祝いなどがあります。
- 厄落とし
- 長寿
厄落としは、厄年にあたる人が厄難を逃れるために神社にお参りする儀式です。
男性の厄年は10歳、25歳、42歳、61歳です。女性は19歳、33歳、37歳です。ただし、いずれも生まれた時を1歳と数える、数え年。一般的に使われている満年齢よりも1つ上になります。
長寿のお祝いは還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、上寿があります。いずれも数え年です。
還暦(かんれき) | 61歳:鎌倉時代から始まったお祝いとされています。当時は長命でめでたいとされました。 |
古希(こき) | 70歳:昔は70歳まで生きるのは稀だったことから、古稀でしたが、稀ではなくなったので古希になったといわれています。 |
喜寿(きじゅ) | 77歳:喜を草書体で書くと㐂となり、七十七に似ていることが由来と言われています。長寿のお祝いです。 |
傘寿(さんじゅ) | 80歳:八十という漢数字が傘の字の略字「仐」に似ていることが由来と言われます。八十寿(やそじゅ)と言われることも。 |
米寿(べいじゅ) | 88歳:米の字をバラバラにすると八十八になるところから、来ています。黄色がお祝いの色です。 |
上寿(じょうじゅ) | 100歳:最も上の段階ということで100歳を意味します。 |
亡くなった後の通過儀礼
日本では、一般的に人が亡くなりますと、遺族によってお通夜・葬儀・告別式が執り行われます。そして、その後にも法要が存在します。
ただし、信仰している宗教によっても異なるものです。
- 法要
法要は法事(ほうじ)、法会(ほうえ)とも呼ばれます。
最近は、臨終から7日目に予定されている初七日は、葬儀と一緒に行われることが多いものです。その他の法要を下記に挙げます。
四十九日法要(35日法要) | 亡くなってから49日目(35日目) |
一周忌 | 亡くなってから1年後の命日 |
三回忌 | 亡くなってから2年目 |
七回忌 | 亡くなってから6年目 |
十三回忌 | 亡くなってから13年目 |
十七回忌 | 亡くなってから16年目 |
二十三回忌 | 亡くなってから22年目 |
二十七回忌 | 亡くなってから26年目 |
三十三回忌 | 亡くなってから32年目 |
三十七回忌 | 亡くなってから36年目 |
五十回忌 | 亡くなってから49年目 |
百回忌 | 亡くなってから99年目 |
アジアの通過儀礼
ここからは、海外の通過儀礼です。まずはアジア編をご紹介します。
赤ちゃん編
アジアの赤ちゃんに関する通過儀礼です。日本と似たお食い初めの風習を挙げてみました。
お食い初めに似た風習
日本のお食い初めに似た風習を中国、韓国、台湾でご紹介します。
①中国
中国は食べ物ではなく、髪の毛を切る風習があります。
親戚や友人に赤ちゃんをお披露目した際に髪の毛を初めて切り、その髪で「胎毛日筆」を作ります。その筆は、赤ちゃんの祖父母への贈り物にするのが伝統です。
一生に一度の貴重な筆なので、最高の縁起物と重宝されています。
②韓国
韓国は、ぺギルと呼ばれる百日祝いがあります。お餅やフルーツなどを飾って家族で写真を撮り、食事を楽しむ行事です。
ここで使用したお餅を100人に食べてもらうと、子供が無病息災で長生きするそうです。
このように韓国では、日本の赤飯のようにお餅がお祝いの席でふるまわれることが多いです。
③台湾
台湾の赤ちゃんに関する儀式は、生後4ヶ月の収涎(シューノァ、シューシエン)です。赤ちゃんが一生を通して食べ物に困らないようにという願いが込められています。
収涎餅乾というクッキーに赤い糸を通して、赤ちゃんの首にネックレスのようにかけます。そして、招かれたお客さんが母親に抱きかかえられた赤ちゃんに、このクッキーを食べさせる真似をします。
お店には、この行事に使う可愛らしいクッキーが数多く売っています。アイシングなどで飾られた物などが多く、台湾の母親たちの注目の的になっているようです。
成人式編
続いて、中国、韓国、台湾の成人式についてもご紹介します。
中国
中国は18歳で成人です。18歳というと、日本と同じように高校3年生なので、成人式は学校で行われます。
学校での儀式のため、日本のように華やかな晴れ着は着用せず、制服です。しかも、中国はジャージ登校が一般的なので、ジャージで参加する場合もあります。
ただし、学校によっては、伝統的な服や私服というケースも。
あくまでも学校行事なので、日本のように羽目を外すことはなく、厳粛な雰囲気の中で行われているようです。
韓国
韓国は19歳が成人とみなされます。ソンニョネナルと呼ばれる成人の日は、5月の第三月曜日です。
この日は、日本のように祝日になっていませんが、家族や友人、恋人と過ごす大事な日として意識されています。
日本のような成人式の式典は、20世紀まで開かれていました。しかし、最近はごく一部の地域のみになっています。
台湾
台湾南部では、旧暦の7月7日の七夕に16歳で成人式が行われます。この日が子供の守護神である七星娘娘の誕生日であるためと考えられます。
しかし、刑法では18歳から刑事責任を負うことになっています。そして、民法で定められている成人年齢は20歳です。2023年1月からは、日本と同じ18歳が成人となる予定です。
お葬式
お葬式について、韓国、中国、インドネシアでご紹介します。
韓国
韓国は、伝統的な儒教のお葬式です。
臨終が確認されると、大声で泣くことで、あちらの世から、お迎えが来るとされています。そして、故人の上衣を持って屋根に上がり使者を招きます。
棺は土葬で故人の名前や出身地を記した旗とともに埋められます。あの世での戸籍謄本の役割を果たしているのでしょう。
しかし、最近では生活の変化により、身近に親戚がいない都市部では、臨終を確認した病院側が葬儀を行う病院葬や業者による葬儀が増えました。
土地不足のために、共同墓地も増え、火葬希望者も増えてきています。
中国
中国では、数千年、風水や血筋の継承に基づく土葬が一般的でしたが、1950年代より火葬が増えました。土地不足と新しい改革のために毛沢東が提唱したのです。
以来、火葬や共同墓地が主流になった中国。ここ数年では、揚子江河口での散骨も増え、葬儀のスタイルも多様化しています。
インドネシア
インドネシアのトラジャ族には、仏教が広がる前に、日本でも行われていた「もがり」があります。
「もがり」は遺体を布で巻き、ある一定の期間、家族と共に過ごす行事です。その期間は3ヶ月から3年と言われています。
その後は公の葬儀商に運ばれ、多くの人々による哀悼の歌で見送られます。クライマックスとして、水牛の肉が参列者にふるまわれます。肉の量が多いほど豪華な葬儀ということです。
ヨーロッパの通過儀礼
ヨーロッパの通過儀礼をご紹介します。ゆりかごから墓場までということで、赤ちゃんから葬儀までです。
赤ちゃん編
ヨーロッパにも、各国独特のお食い初めに似た儀式があります。
お食い初めに似た風習
お食い初めに似た儀式のある国として、ブルガリア、イギリス、フィンランドをご紹介します。
①ブルガリア
ブルガリアは「ポカチャ」と呼ばれるパンを作ります。赤ちゃんが生まれてから、1ヶ月と10日ほどたった40日目の行事です。
教会で生後40日のパーティーが開かれるので、その際にふるまわれるのがポカチャです。ブルガリアらしくヨーグルトが入っています。
このポカチャは、生後40日のみでなく、洗礼式や結婚式といったお祝い事には欠かせない食べ物です。
②イギリス
イギリスでもお食い初めがありました。生後間もない命名式で、スプーンを使ったお食い初めがあったと言います。
かつては、上流家庭では銀のスプーン、庶民は木のスプーンでした。そのため、食べ物に困らないように銀のスプーンをプレゼントする風習ができたと言われています。
現在でもこの風習は、ヨーロッパ中に残っており、赤ちゃんにスプーンをプレゼントする人は多いようです。
③フィンランド
お食い初めとは異なりますが、フィンランド独特の赤ちゃんに関する習わしをご紹介しましょう。
フィンランドは妊婦全員に「フィニッシュべビーボックス」という段ボールが無償で贈られます。中には、ベビー用品一式が入っており、段ボールがベビーベッドとして使えるようになっています。
国として、赤ちゃんが生まれることを歓迎していることを表しています。世界幸福度ランキング1位の国ならではのプレゼントです。
成人式編
次は成人式として、イギリスを取り上げます。
イギリスでは花火をあげる
イギリスでは、18歳が成人年齢です。
イギリスは、18歳未満の花火購入が禁止です。花火の取り扱いが特別に難しいのでしょう。そのため、成人になったお祝いとして、豪華な花火を上げます。
お葬式
ヨーロッパのお葬式として、イギリス、ドイツ、フランスを取り上げます。
イギリス
イギリスは、約7割は火葬、残りは土葬です。
葬儀は少人数による簡素なものが多いです。死をプライベートなものととらえ、悲しみの中にいる方々をそっとしておいてあげたいという考えが主流と見られます。
したがって、日本のように、知らせを受けてお通夜などに駆け付けることはありません。哀悼の気持ちは、そっと花束を贈ることで表す程度です。
葬儀は死後10日ほどたってから、教会などで行われます。
ドイツ
ドイツは火葬が40%以下で、それ以外は土葬です。
それは、宗教的な考え方によるものです。カトリック教会では、キリストが土葬されたと言い伝えられていたので、火葬を禁じられていた時代がありました。ドイツでは、教会が大きな権力を持っていたからです。
18世紀後半には、政府によって教会は、葬儀に関する権限を取り上げられました。しかし、未だにカトリック教会は火葬を行っていません。
今でも火葬が少ないのは、その影響とみられます。
フランス
フランスでは、墓地が公園のように明るい雰囲気です。この国では、お金持ちも庶民も同じように埋葬されています。
葬儀の考え方はカトリックの教えによるものです。葬儀の場では、舟形の棺とともに燭台が置かれています。
パリでは、区営の公社が葬儀を運営しています。料金は厳密な取り決めがあるため、日本よりも安いものです。葬儀は福祉として社会全体で行うものとされているからです。
墓石に個性はあるものの、どんな境遇の人でも同じように埋葬されます。
南北アメリカの通過儀礼
最後に南北アメリカの通過儀礼です。赤ちゃんからお葬式までご紹介します。
赤ちゃん編
赤ちゃんのお食い初めに似た儀式としてスマッシュケーキがあります。
お食い初めに似た風習のスマッシュケーキ
スマッシュケーキはお食い初めに似たお祝いの仕方です。満1歳になった赤ちゃんに手づかみでケーキを食べさせるといったもの。
アメリカが発祥ですが、かわいいケーキでインスタ映えするため、日本でも流行りつつあります。
1歳になり、食べ物にも興味を持ち始めた赤ちゃんの前に色鮮やかなケーキを置き、その様子を撮影するという何とも斬新で楽しいイベントです。
因みにsmashとは「打ち壊す」という意味です。
成人式編
アメリカの成人式は、まるでパーティーのような感じです。その様子をご紹介します。
成人式ではなくパーティー
アメリカは州によって、成人年齢が異なり、18歳で成人という州がほとんどを占めます。
北米では、16歳になると、女の子が大人の女性の仲間入りをする年齢とされているため、女の子のみの16歳パーティーが盛大に行われます。
Sweet sixteenと言われるパーティー。それぞれ好きな服装をして、仲間と楽しいひとときを過ごします。
昔は女性の結婚が早かったため、女の子の16歳となると、結婚を意識する年齢。節目の年齢とされた背景には、結婚があったと思われます。
お葬式
アメリカのお葬式はフューネラルビジネスと言います。その中身をご紹介します。
フューネラルビジネス
アメリカでは、30年ほど前にフューネラルビジネスの近代化が進み、社会的地位も確立しました。
アメリカのお葬式はフューネラルビジネスとして、生存時から顧客を見つけます。そして、遺体の処置から埋葬までをトータルで行います。
アメリカでは、遺体をきれいにするエンバーミングも当たり前のように行われています。葬儀ビジネスに関わる場合は、この資格が必要となっているほどです。
まとめ:日本でも海外でもさまざまな通過儀礼が存在する
人は生まれてから亡くなるまで、人生の節目においてさまざまな儀式や行事が存在します。これが通過儀礼です。
日本でも帯祝いから法要まで、数多くの儀式が行われます。
そして海外でも、その国独特の文化や考え方、宗教によりさまざまな通過儀礼が存在します。
お腹の中から墓場まで、人生とは幅広いものです。